2010/02/15

アートがあふれている。              東京都羽村市立 羽村第三中学校


 
青空BOOK ザ・アート・クラス。 このページでは日本全国の幼稚園から大学まで、あらゆる学校の美術教育の現場で実践されている、さまざまな授業やワークショップ、イベントやプロジェクトを取材し紹介していこうと思います。 記念すべき第一回は、東京の羽村第三中学校で鈴木斉先生の指導のもとに行われた“カメラを使った授業”です。ページの一番上の「青空BOOK」のタイトルは、その時の授業で生徒さんたちが、学校内の自然の素材、草、木の実、花、石、枝などを使って青空BOOK の文字を作り、写真に撮って表現してくれたものです。
 

羽村3中には、学校中にアートがあふれています。そのなかでも、等身大のひとのかたちをしたシルエットプロジェクトは圧巻です。廊下や、階段、げた箱、踊場など、それこそ、どこにでもあります。その存在感はどちらかというと、ある、というより、いる、と言った方がしっくりくるのかもしれません。実際に授業中など、廊下や階段にあまり人のいないときに、これらのシルエットたちにでくわすと、ちょっと、どきっとします。
1回目の授業は、今回制作するアース・アートとはどんなものか?を理解する導入として、まず彫刻家で写真家のアンディー・ゴールズワーシーの、アース・アートの写真を生徒たちに見せるところからはじまりました。




自然の素材をその素材のある場所で組み合わせて作るアース・アートは、環境に負荷をかけない芸術というコンセプトによって、作られた作品は作られたその場所から移動することはない。それゆえに、完成作品を写真に収めることが非常に重要であり、また、その写真自身がアートになる。という今回の授業のコンセプトを鈴木先生が説明し、「みんな、わかりましたかぁ?」「はぁーい!」という、すごく明快な返事を合図にみんなで校庭にでました。

まず先生が、同じ木の葉っぱでもこんなに色が違うこと、木の実や花など、学校の中だけでも探せばいくらでも素材は見つかることをみんなに見せました。クモの巣をなんとか使えないものか・・と試行錯誤する女子や、せみのぬけがらを集める男子がいたりして、どんな作品になるのだろう?とわれわれスタッフは胸を躍らせていました。鈴木先生の美術授業をお手伝いしている講師の大西先生が感慨深げに「不思議ねえ、普段はきれいな夕日を見てもちっとも喜ばない子たちが・・・あんなに目を輝かせて、草花に見入ってたりして・・カメラのちからかしら?」と、おっしゃっていたのが印象的でした。




翌週の2回目の授業では、1時間目でアース・アートを作って写真に撮り、2時間目でその写真をみんなで鑑賞する。というふつうの倍くらいのペースで進行しないと間に合わないスケジュールのものでした。時間が勝負に見えました。




生徒たちの集中力はすさまじく、もくもくとためらうことなく、どんどん作品ができていきました。みんなすでになんらかの完成イメージをもって突き進んでいっているように見えました。なによりも、楽しんでやっているのがひしひし伝わってきました。


生徒たちの作品に向かう喜びとパワーと集中力はひょっとすると、日常的に大量のアートに囲まれた校舎で過ごすことで自然に培われた“羽村3中アート気質”によるところが大きいのかもしれない。違うかもしれない。ただ、われわれ青空BOOK が、「あー、おれも、こんな校舎で鈴木先生のこんな授業を受けたかったなあ・・うらやましいなあ、いーなぁー羽村3中・・」と感じたことだけは確かでした。


次回では、羽村3中のアース・アート。生徒さんたちの作品をたっぷり紹介したいと思います。

最後に、今回の“カメラを使った授業”にあたり、快くカメラを提供してくださった、ジェネラル・イメージング・ジャパン株式会社に感謝いたします。





取材:宮本一郎(warelights )















 

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